もうやんカレー辻社長の物件選びのポイントと看板のテクニック【テナントブックオリジナル記事】

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芸能界、スポーツ界などにも多くのファンがいる、特別なカレー店。
それがもうやんカレーだ。
関東を中心に12店舗を展開するこの店を、カレー好きのみならず、知っている方は多いだろう。

ここまで存在感を出せるようになった理由や、どうやって物件を探しているのかを、テナントブックユーザーの皆様に向けてお答えいただいた。

第2回では、物件を探すときに具体的に何を見ているのか、また店頭プロモーションのテクニックについて語っていただいた。

第1回 もうやんカレーが多くのファンを生み出した理由
第2回 物件選びのポイントと看板のテクニック(今ここ)
第3回 この時代のプロモーションと顧客とのコミュニケーション



■物件探しのポイントとは




――では、物件について詳しく教えていただけますか?

最初に出店したのが25年前でしょ。
その時と今とじゃ全然違う。今?昔?

――今の話を聞かせてください

昔と選び方が全く違うんですよ。
25歳の時、僕の同年代はみんな車とかバイクを持ってるんです。
東京に住んでてもほぼ持ってるんです。
ローン60回払い組んででも、みんな買うんですよ。
だから、変なとこに出しても美味けりゃ来る時代だったんですよ。
3等立地に出しても、こんなとこにあんの?ってとこでも来たんです。

今はみんな車を持ってないですよね。
都内の人、若者なんか特に。
金がかかるし、地下鉄とかバス便利だし。
みんな興味もないし駐禁切られるし。
子供が2人いるけど、免許取らないんですよ。
別にいらなくない?みたいな感じ。

そうなると行動するところが変わってくるんですよね。
都内だとあんまり奥地にあっても、よっぽど理由がないと行かないんですよ。
本当にコアな人しか来ない裏路地の店みたいなとこって、みんな歩いても行くんだけど...。
やっぱり僕はターゲットを絞らないから、そこじゃダメなんですよ。
昔はそこでよかったけど 今は違うんですよ。
ここ(大手町店)なんかそうじゃないですか。
昔じゃ絶対選ばない。

――25年前から今もやってる場所はありますか?

西新宿はそうですね。
細かい話すると、5年目に都市開発があって隣の隣に移ってるんですよ。
場所はほぼあそこですけど。

新宿駅からは離れており、西新宿駅からも徒歩6分という立地
©Google


まず家賃が場所にしては安い。
道路挟んで、住宅街とオフィス街がある。
昼はオフィス街から来る、夜は住宅街とオフィス街が混ざる。
それなりにちゃんと理由があってそこにしてるんです。
最初の店だったんで家賃の1~2万に敏感だったんですよ。
坪いくらというより、その家賃を払えるかどうか。
坪3万と言ったら、当時の僕にとってはめちゃくちゃ高かった。
新宿なんかは、昔から坪2万切ってるんですよ。
その代わり昼はわんさか人いるし。

今は再開発がすごくて、昔とえらい違いなんですよ。
近隣の人じゃなくて、目指して来てくれる人が多くなってくる。
長年やってるからそれで何とか持ってるけど、今あそこ(西新宿店)に出すかといったら出さない。

今出すなら、若い子の行動を考えると...なるべく駅近とか交通の便がいいとこ。
都内の場合、タクシーを使ってわざわざ来ないし、駅近でなんとか済ませたいって人が多いと思うから。
バスとかじゃダメ。
昔は安くていいとこ探してた。
いい場所なんだけどちょっと奥まってるから安い。

例えば渋谷(246店)あるじゃないですか。
ちょっと奥まってるでしょ。
あそこ、表に出ると家賃が倍になるんですよ。

数メートルの違いしかない


――あれだけで...。そんなに変わるんですね

家賃が倍になると「利益あんの?」みたいになっちゃうんですよ。
だからそういう変な場所が良い。
上から見たらいい場所なんだけど、実際ちょっと奥まっている。
だけど「ちょっと首を振ればなんだかわかる」という風にしとかないと。
毎年毎年東京は人が入れ替わるから、知らなかったじゃ済まされない
アピールが少ないがために知らなかった店って、都内にいっぱいあるんですよ。
こんな店あったっけ?って。

あとは周辺をスマートフォンで上から見れるから。
上から見て、例えば公園とか神社とかそんなんばっかだったら人が住んでない。
そういう密度を考えたりとか。

ここ(大手町店)なんか大手町の端っこだから、一歩向こうに行ったら皇居なんですよ。

大手町駅にほど近いが、西側は皇居が広がる
©Google


誰も住んでないじゃないですか(笑)
あんなに広いのに何人しかいない。
あそこから昼ごはんに来る人はいないし。
でもその反対側はある程度お客様もいるし、僕の場合呼ばれてきてるから安く出させてもらってます。
だから来てますけど、通常の料金じゃ入らないです。

――物件を自発的に探すより、案件を貰って出す方が多いんでしょうか?

最近はそうですね。
路面店もやっぱり魅力なんですけど。
それはやりたい放題だから。
なんだけど、よっぽど条件が良いかどうか。
1階だったらどれだけ宣伝できるか。
2階でも地下でもいいけど、専用階段があるのか。
階段の横でコマーシャルできるのか。
物件選ぶとき、そこは勿論見ますけどね。

――前を歩く人にちゃんと見てもらえれば、ある程度奥まったところでも問題ない?

例えば空中階、エレベーターで上がっていくとこはうちなんか難しいんじゃないかな。
皆さんよくやるなぁと思って。

――もうやんカレーの場合、逆に地下の店も多いじゃないですか。
他の人からしてみたら、良く地下なのにやるなと思われてる方も多いと思うんですけど
地下でも成功させるポイントは見せ方なんですかね?


池袋や新橋も地下ですね。
看板を道に平行に置いたって、歩行者には見えない。
看板が、どれだけ歩行者の目線に入るか。

②の看板だと”店の正面”に来ないと歩行者の目に入らない


――赤坂も地下ですよね

あれも、看板をどれだけ歩行者に見せるか。
渋谷にデカい看板出してるけど、こう(上記図②)なんですよ。だから見えない。
目の前に行かないと見えない。
でも、のぼりがあるから、何とか見える。

もうやんカレー246店の外観
店の正面に来る前に、看板が目線に入る


――看板のテクニックってことですね?

看板は道に平行じゃなくて、道に垂直。
池袋なんかでも基本これ(道に平行)しかないから見えないんですよ。
で、たまたま袖のでっかいのが一戸空いたから、それをパチンコ屋みたいにしてやろうと

――派手ですよね

キラッキラにして。
向こうはぞろぞろ人が歩くとこだから、そこにいかにアピールするか。
池袋は埼玉からも良く人が来るから、うちの事を知らない若者が毎年毎年来るわけですよ。
どんどんお客さんも変わってくるから。
10年たったらね、今まで食べてた人も引っ越しちゃったりとか。
若者は新しいの来るけど、今はスマホで動くから、スマホで出てくるとこしか行かない。
こっちも対策しますけど。

可能性がどうしてもないとこはあるんですよ。
いくら大家さんに頼んでも出来ないこともあるし、物理的にできないこともあるから。
物理的にできるかどうかってのは大きな差。
そこは見ますよ。

――始めてお店を出す方はどこにポイントをおけばいいのか、わからない方もいらっしゃると思うんです。
だから実際にどう物件を選んでいるのか、どういうところを基準にポイントとして物件を探しているのか、お聞きしたかった。
他にやっていることはありますか?


一番は、張り込むこと。
昔からやってるんですけど、これが一番。
2週間くらい物件に張り込むんですよ。
平日、雨の日、休日、土日...やる商売の時間に張り込む。
ずっといるんですよ。ただいるだけ。
真夏なんか結構キツイですけど、キックボードでもあれば持って行って(笑)
車だとちゃんと見えないから、歩いたほうがいい。

良く勘違いしがちなのが、お昼だったら12時になるとどこでも混むんですよ。
12時前から混むのか、1時になっても混むのか、2時になっても混むのか。
要するに、3回転4回転するのか。そこを見ないと。

あとはお店の営業時間を見て早く終わるエリアは、要は2回転目がないってことですよね。
そこは避ける。
3時、4時で人がいなくてもいいけど、せめて昼は最低2回転くらいしないと。

週7日だったら5日は平日だから、そこも押さえないと商売にならない。
ただ混んでる日、土日とかピークの時だけ見たんじゃダメで、ちゃんと見た方が良い。
雨の日、いきなりパタッと客足がなくなるところがあるんですよ。
反面、雨降ってても食うとこないから、しょうがなく出てくるところもあるし。

――張り込むとき、見てるのは人だけですか?

あと店の中。
地下とか2階って見えないじゃないですか。
入ってみるんですよ。
ガラッと入って間違えたっつって、誰かいるかなぁって待ち合わせの振りして(笑)
1階でも見えないとこあるから、入ってみて。

――中の確認ですね。

あとは、人を見ることですね。
昼時、お店を探してそうな人についていって「あの店が美味しい、この店まずい」って話してるのを聞いてみたり。
探偵じみた事をやってますよ(笑)

――世代や集団の情報より、一個人を深掘りした情報ってすごく重要ですよね。
実はそこにヒントが隠されているというのは、飲食に限らずあると思います。
それを深く調査されてるのは面白いなと思います。


わかんないんですよ。
同年代だったら大体行動わかるけど。

今おいくつですか?

――28歳です。

28歳で東京に勤めてる方の行動パターンって、わからないんです。
あとをつけてみようかな(笑)

――この後、変な場所には行かないようにしないと(笑)

実際見ないとわかんないですよね。
息子が同じくらいの歳なんですけど、行動パターンがわけわかんない。
彼女とデートしてくるって、千葉の住宅街の方に行ったり、その近くのイオンとかをうろうろしたり。
そうかと思えばディズニーランドに3日連続で行ったり。
で、車も乗らない。

――私も車は持ってないです。

僕は仕事で毎日乗りますし、好きでバイク乗るけど。
今の人は、スマホが面白いじゃないですか。
次男はゲーマーなんですけど、タダで出来るんだからいい時代だなと。
でも腹は減る、とはいえあんまり歩きたくない、だったら近いとこ。
若者の人数もどんどん少ないし。
なおさら、ちゃんとしておかないと。

まとめ




今回は辻社長に物件を探すときのポイントを語っていただいた。
  1. 物件の場所を上から見る
  2. 看板をどう出せるか確認(歩行者に見える角度)
  3. 物件に張り込む

時代が変われば、求められる飲食店も変わっていく。
物件探しも同じだ。
必要なポイントをしっかり押さえて、物件を探そう。
あわよくばテナントブックであなたに合う物件を見つけて頂けたら、うれしく思う。

最終回となる次回は、この時代のプロモーション、顧客との接点の作り方について語っていただく。

第1回 もうやんカレーが多くのファンを生み出した理由
第2回 物件選びのポイントと看板のテクニック(今ここ)
第3回 この時代のプロモーションと顧客とのコミュニケーション

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