飲食店のための家賃交渉手順
【コラム特別寄稿】



テナントブック特別寄稿コラム

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前回の特別寄稿「コロナショックの今だからやるべきこと」の後に、家賃交渉について具体的にはどのような手順で行えばよいか、とのお問い合わせを各方面から頂きました。
なので今回は、コラム内容を変更して具体的な家賃交渉について説明します。
また、5月6日の緊急事態宣言が明けるまで休業する場合の注意点について記載しておきます。

赤羽国土交通相が「家賃猶予」(注1)についてビル所有者に通達を出しても現実には中小のビルオーナーには中々応じて貰えない、という話を耳にします。
交渉には事前の準備と粘り強さが必要です。
以下の書面を準備する前に、契約内容(敷金金額/解約申込期間)を確認しておきましょう。

テナントブック注
当コラム内にて書面のひな形をダウンロードできますので、PCでの閲覧をお勧めいたします。
https://www.tenantbook.jp/2020/04/10/article2000031/

1:家賃交渉の準備書面の作成




① 依頼書面の準備「家賃減免のお願い」の準備

家賃減免の内容を決めましょう


減免内容には大きく3つあります。
  1. 家賃の減免
  2. 家賃の支払い猶予
  3. 一定期間の家賃減額とその後の分割支払い
先方にお願いする内容は2つ、家賃の減免の内容とその期間です。

【A:家賃の減免】

  • 現在の家賃の何割かを、一定期間免除して貰う。
    ➡コロナ終息後に家賃に対する負債を抱えることが無いためベストだが、交渉ハードルも高い。

【B:家賃の支払い猶予】

  • 一定期間家賃の支払いを待って貰う。
    ➡手持ち資金の保持のため、融資等が下りた段階や営業再開が見込める、であろう時期での支払い。
    その時点で、営業再開の見込みが立っているか、支払い後のキャッシュフローが回るか慎重に計算し、支払い方法を検討する必要がある。

【C:一定期間の家賃減額とその後の分割支払い】

  • 一定期間の家賃を減額して貰い、差額分を分割で支払う。
    ➡仮に家賃30万ならば半年間20万円に減額して貰い、差額分の60万円を1年間かけて5万円ずつ返済して行くなどの方法。
    ビルオーナー側には最終的に入る金額が同額であるため、交渉し易い。

*BとCのプランでは、「家賃減免のお願い」に返済プランを記載すること。

雛形をダウンロードできるように用意しました。
雛形は、半年間の家賃50%減免で作成してありますので、自身が依頼したい内容で文面を修正してください。

【売上比較表】ダウンロードリンク

もしダウンロードできない場合は、下記のURLを規定のブラウザで開いてください。
https://www.tenantbook.jp/wp-content/uploads/2020/04/家賃減免依頼書.docx

② 昨対売上との比較一覧表を作成しましょう

正確な数字を記載しましょう

  • 現実、今回のコロナショックでどの位売上が落ちたか、書面で示すことは重要です。
    通常に戻れば、売上が回復し通常家賃を払えることへの裏付けにもなります。

  • 一覧表を作成するにあたり、事実内容を記載しましょう(数字を盛らない)。
    法人の場合は決算書の提出、個人の場合は確定申告内容を追加書類で求められることがあります。
    正確な数字を入れて内容が一致していることが重要です。

【売上比較表】ダウンロードリンク

もしダウンロードできない場合は、下記のURLをコピーして規定のブラウザで開いてください。
https://www.tenantbook.jp/wp-content/uploads/2020/04/家賃減免依頼書.docx

③ 書面ができたら郵送で大家(ビルオーナー)と管理会社の双方に送りましょう。

*大家さんの住所は契約書に記載されています。

管理会社は基本的に大家さん側の味方です。

  • 管理会社は大家さんから報酬を得ていますので大家さんに不利な事は消極的対応です。
    そのため、大家さんと管理会社の双方に「家賃減免のお願い」「売上比較表」「新型コロナウイルス感染症にかかる対応について(依頼)」(注1)の3点を同封して郵送してください。
    大家さん側にも書面を送っていることを示すと、管理会社で話を止めることが出来なくなります。
    また、社会全体が苦しんでいることは周知の事実であり、大家さんと直接話す姿勢を見せることで切実さを伝えましょう。

2:交渉の手順




①「家賃減免のお願い」に記載した期日になったら直接電話して交渉しましょう。

*この時期、対面での打合せができるとは限りません、電話での確認から始めましょう。

1回目は断られるかも知れません。何度も交渉しましょう!

Aプランの「家賃減免のお願い」書面と送付していたならば、希望減額50%が厳しく、交渉が難航したら少し下げる、また期間半年が難しいなら5か月に下げながら交渉する。
最終的に50%減免が35%減免で着地したとしても負担は軽くなります。

目標は「店舗の存続でありコロナウイルス終息後に体力を温存する」ことです。
これなら何とか凌げる着地点を目指し、粘り強く諦めない交渉が重要です。
余談ですが、私は過去に1案件で6回(6人の担当者)と交渉したことがあります。

コロナウイルスの終息時期が見えない現在、万が一、退去されたら次の入居者が決まりづらいことは先方も承知しているはずです。
一方、ビルオーナーも借入金でのビル購入により、返済を抱えていることもあるため、相手の立場に理解を示しながら誠意も持って話合い、粘り強く着地点を見出しましょう。

3:休業する場合の注意点について




① 空き巣防止策を講じておく。

  • 現金、金券(収入印紙/切手含む)食材、酒類、パソコンは全て自宅に持ち帰りましょう。
    東日本大震災の際も東北地方で一時避難された方の家に空き巣が多発したことが話題になりました。
    残念なことですが、予め予防策を講じておきましょう。
    冷凍・冷蔵庫の中は空に、可能であればブレーカーを落とし、シャッターを閉める、無ければトタン板で入口を塞いでおくことも有効です。


② 管理会社、近隣店舗に休業する旨伝え、何か変化が生じた際は連絡を貰えるようにしておきましょう。


【参考】
注1)新型コロナウイルス感染症にかかる対応について(依頼)
https://www.zentaku.or.jp/news/4680/

田上 百合子(たのうえ ゆりこ) スパイカ株式会社 代表取締役
店舗開発プロデューサー/出店戦略コンサルタント
大手内装会社を経て、美容・外食・小売のチェーンストア本部で店舗開発職及びスーパーバイジングに従事後独立。
独立後は、国内外において店舗出店及び新規店舗事業構築に伴う、出店戦略立案、経済条件交渉、コンストラクションマネジメント、予算管理、運営設計まで一貫した店舗事業プロデュースの他、本部と現場の仕組み化などの経営支援に従事する。