コロナショックの今だからやるべきこと
【コラム特別寄稿】



テナントブック特別寄稿コラム

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小池知事の外出自粛会見など飲食店には厳しい状況が続いています。
現時点ではコロナウイルスによるピークや終息が見えず、東京のロックダウンさえ囁かれる中では終息が見えるまでに数ヶ月~1年は掛ると考えた方が良いでしょう。
店舗数1~数店舗の小規模事業主(者)として経営土台を作っている段階の皆様には、大変厳しい状況が暫く続くため、今できる事を以下に纏めました。

1:衛生管理について




①店舗であるべき衛生管理について、スタッフとやり方と目的を共有しましょう

  1. コロナウイルス対策としてどのような衛生管理が必要なのか。
  2. なぜ衛生管理をやる必要があるのか。

上記をスタッフと共有することでコロナウイルスによる困難に立ち向かうチームとして結束を固めましょう。
衛生管理を共有することは、小池知事会見での『3密』に行かない等の行動意識に繋がるように話しましょう。
※3密:密閉、密集、密接な環境

②スタッフの衛生管理手順と公開

スタッフの毎日の衛生管理についてチェックを行うと同時に店舗のポリシーとして、お客様に公開しましょう。
店舗での衛生管理の公表はお客様の安心に繋がります。
衛生管理手順をパウチで作って、メニューと一緒にお客様示す、トイレに貼るなどします。

衛生管理手順

スタッフ入店➡着替え➡健康チェック(①体温計チェック②下痢・嘔吐はしていないか)
➡衛生チェック(①爪は伸びていないか②ユニフォームは清潔か③髪の毛は纏まっているか)
➡手洗い➡アルコール消毒スプレー➡シフト入り(作業開始)

※体温計は使う毎に消毒しましょう。
また、状況によりスタッフのマスク着用を行いましょう。
その場合、衛生基準公開と合わせてお客様に周知しましょう。

③店内環境の衛生管理

店舗環境は小まめに消毒しましょう。
アルコール消毒剤も不足している状況ですが、注1)厚生労働省の発表では界面活性剤を含む住宅洗剤等による清拭がコロナウイルスの表面膜エンベロープを壊すため有効性が示されています。
アルコール消毒剤が無い場合は、住宅洗剤で小まめに清拭しましょう。
アルコール消毒よりも臭いが強くなく、扱い易いという良い面もあります。

2:店舗毎の収支と今後の対策を確認/策定する(管理会計思考)




経産省や東京都がが公表している融資情報(注2~注4)の中には、運転資金融資1,000万で措置期間3年等の融資もありますが、その前に現在の店舗毎の収支確認と今後の対策を策定しましょう。

① 店舗毎の収支の再確認➡店舗毎の必要固定費の把握


② 会社全体としてどこまでキャッシュフローが持つか確認➡助成金/融資の検討

融資を申請しても申請通過➡資金調達 までには時間が掛かります。
今を乗り切るための対策とその後、売上向上の対策を考えて行くことが必要です。

③ 店舗毎にどの位、敷金(保証金)を入れているか確認して家賃交渉をする

単純に家賃を下げて貰えるか、駄目なら、今一番厳しい時期を乗り越えるために家賃の数割を後払いにして貰う交渉をしましょう。
家賃30万ならば、半年20万にして貰い、後半1年間毎月の家賃を5万ずつ上乗せして払うなどの交渉をしてみる。

賃貸借契約上、敷金や保証金は家賃と相殺出来ないと記載されていることが多いですが、社会的困難な状況化で、飲食業のみならず社会全体が厳しい中、相談に乗ってくれる不動産会社、オーナーはいると思います。
ダメ元でもやってみる価値があります。
※テナントブック追記:国土交通省がテナントビル所有者に対し、業種を問わず賃料徴収猶予を検討するよう働き掛ける意向を示しました(注7)
日本経済新聞 テナント賃料猶予を要請 ビル所有者に通知

④ 収支を確認したら再度、自店舗の業態再チェック、お客様との関係性構築が出来ているか再確認し、プロフィットツリー(利益を出すための仕組)を検討する

自分の店舗は商品力(メニュー)、サービス力(接客力)が高いのか、把握した上で精度を高めましょう。
新たな商品開発、企画、サービス(接客方法)の見直し、自店舗に合ったプロフィットツリーを再確認(構築)しましょう。

フードメニューひとつ取っても、理論原価と実質原価(ロス分含む)が違います。
再度確認し、自店舗の魅力を高め業態の再確認と最適なプロフィットツリーを構築し、お客様が戻ってきた時に提供できる準備をしておきましょう。

⑤ テイクアウトメニュー/出張シェフメニューの開発と告知

  1. テイクアウトの準備
    今、店舗があるのはどんな立地でしょうか?
    近隣状況に合わせたテイクアウトメニューを開発しましょう。

  2. テイクアウトメニューの告知
    SNS/ポスティングによるビラで近隣に告知しましょう。

  3. デリバリー代行会社への登録
    注5)デリバリー代行4社へ登録しましょう。
    デリバリー代行会社によって契約内容、システムが違います。
    テイクアウトを始める前に把握しておきましょう。

  4. 出張シェフメニューの作成と告知をしましょう。
    長期に及びかねない自粛ムードは、消費者へのストレスも大きいことが予測されます。
    一方で、結婚記念日や子供の入学祝い、家族に関するお祝いなどは毎年あります。
    そんな家族のお祝いディナーや、たまの出張シェフ贅沢ディナーなどを計画実施しましょう。

⑥ 勇気ある撤退の検討

数店舗の運営を行い店舗毎の収支を計算し、それでも足を引っ張りそうな店舗がある場合、撤退を視野にいれた検討する。

撤退は、会社に余力がある時しかできません。
社会的な問題での撤退は経営資源を集約するための勇気ある経営的意思決定です。
店舗毎の収支を検討した上で、最善の策を選びましょう。

3:スタッフと一緒に困難を乗り切ることでチームとして結束力を高める




お客様不在の中のアルバイト人件費をどう抑えるか検討する

慢性的な人手不足の中ではこの困難な中、どうしたらアルバイトを継続させることができるか考えましょう。
近隣店舗、友人の飲食店やその他の業種と共同でアルバイトの雇用を継続させる(シェアアルバイト)など、これまで無かった取組みの検討をしてみましょう。

困難な時ほどスタッフとの一体感が生まれ易くなります。
「明日からこなくていいよ」的な解雇は、全体の士気を下げてしまいます。
解雇の意志決定前に、アルバイトと一緒に考えてみることが新たな対策や発見に繋がる可能性があります。

社員さんに対しては、雇用調整助成金(注5)の適応などができる可能性があり、
まずは相談をお勧めします。

4:経営者自身の心の均衡を保ちストレスの解消を考える




先の見えない状況の中、様々な心労が経営者を襲います。自身の心のケアを考えていきましょう。

① 信じられる情報のみ選択収集し、その他の情報を遮断する

不安を煽るメディアの情報に触れていると心が晴れません。
情報は諸官庁発信情報など信頼できる情報だけ受信し、それ以外の時間は現状打開策と未来への売上策定に使いましょう。

② 信頼できる同業者とのネットワークを作り情報交換をしましょう

頑張っているのは自分だけじゃない、と思えることは心の平安と未来への意欲に繋がります。
同業者数名によるZOOMなどのオンライン情報交換などおススメです。
自分ひとりで抱え込まないように、レジリエンス力(日常的なストレスに対処する力)は、周囲との共感と共闘により保たれます。

一人で抱え込まないで、この困難な時期を一緒に頑張りましょう!

【引用】
注1)厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A
注2)【融資】経済産業省 新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
注3)【融資/相談】東京都産業労働局 【企業の皆様・はたらく皆様へ】新型コロナウイルス感染症に対応した支援策について
注4)【融資/相談/まとめサイト】独立行政法人 中小企業基盤整備機構
注5)厚生労働省 雇用調整助成金
注6)デリバリー代行会社

【参考】
注7)赤羽一嘉国土交通相 テナント賃料猶予を要請
注8)新型コロナ、影響を受ける飲食店や日々の食生活を応援するフードテック企業たち
注9)【未来のお客さんになろう!】キッチハイク

田上 百合子(たのうえ ゆりこ) スパイカ株式会社 代表取締役
店舗開発プロデューサー/出店戦略コンサルタント
大手内装会社を経て、美容・外食・小売のチェーンストア本部で店舗開発職及びスーパーバイジングに従事後独立。
独立後は、国内外において店舗出店及び新規店舗事業構築に伴う、出店戦略立案、経済条件交渉、コンストラクションマネジメント、予算管理、運営設計まで一貫した店舗事業プロデュースの他、本部と現場の仕組み化などの経営支援に従事する。


コラムまとめ
第1回 業態   :自分の店舗の業態を把握する
第2回 業態   :店舗をつくる4つの構成概念
第3回 多店舗化 :家業でやるか事業でやるか
第4回 多店舗化 :家業と違う事業化の難しさ
第5回 路面店選び:立地を考える-笹塚駅周辺分析
第6回 路面店選び:物件を考える