【連載コラム第六回】
路面店選び:物件を考える



今回のコラムはスパイカ株式会社が ①業態 ②多店舗化 ③路面店選び ④商店街の店舗 ⑤ロードサイド物件 ⑥商業施設への出店 とテナントブックへ寄稿する第5回目です。


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これまで、自分が経営している店舗の業態を把握し、自分の業態に合う出店立地の選び方について考えてきました。第6回は、路面ビルの選別の方法について考えていきます。

テナントブックのユーザーの皆様は2店舗目、3店舗の出店を検討している方々が多いと思いますが、多店舗化の回で記載したように、店舗数と全体の売上が上がっているにも関わらず、全体の営業利益が個人事業よりも減ることが多々あります。

経営資源(人・モノ・金)が少なく、業態構築の完成度が低い(串カツと言えば串カツ田中だね、と連想されるようになると業態は完成)小規模運営の時期には、1店舗毎に管理会計思考で店舗利益の確認を行い、全体の業態完成度を上げる努力で売上・利益を上げて行くことを優先してください。

店舗数を増やし経営土台を構築していく段階では、フリーキャッシュフローがプラス(営業キャッシュフロー - 投資キャッシュフロー)になるまでは1等立地の1階路面店だからと高い家賃の物件取得はしないことが重要です。
経営土台構築段階での借入金による高額物件の投機的物件取得は命取りになりかねません。

では、物件をどのように確認していくか段階を踏んできいきましょう。

【前提条件】
2店舗目、3店舗目の出店であれば管理し易く、少ない経営資源を有効活用できる立地を選びましょう。
ドミナント出店といいますが、1号店の隣の駅、同じ沿線の駅立地、また大きな駅の北口に既存店あれば、南口に出店するなど管理のし易さ、人材を回せる利点を優先した方が負荷を少なく出店できます。

1:内見の際に周辺環境で確認すべきこと




駅から物件までの時間と周辺環境を確認しましょう

不動産屋の物件情報(マイソク)は1分=80mで計算されていることが多く、途中に横断歩道や大きな道路があると記載されている時間以上に到着まで掛かります。
時間を計ること、駅から物件までの間にどんな店舗があるのか、同じような業態の店舗はあるか、どんな人たち(会社員、住民、ファミリー、高齢者)が歩いているのか、など調べましょう。

周辺の店舗・コンビニをチェックしましょう

不動産業者立ち合いの元の内見は1回ですが、出店しても良さそうだな、と感じたら、平日/休日の昼と夜の4回物件周辺を歩いて、歩いている人(未来のお客様)の属性が平日と休日で変化するのか、周辺飲食店の入り具合、勝ち負けがあるようなら繁盛店に入ってのリサーチを行ってみましょう。

その際、近くにスーパーやショッピングデンター、公共施設などがあり集客スポットになっているか、などの確認も合わせて行うとよいでしょう。

コンビニのレジの台数も重要です。コンビニは売上予測によるレジ台数なので、物件の近所にコンビニがあったらレジ台数を確認しておきましょう、3台以上が望ましいです。


2:路面ビルの建築状況で確認すべきこと




目当ての階数は1F、それ以外のフロアでしょうか

■1Fの場合
  • 間口はどの位ありますか。
  • 半地下になっていませんか
  • 折角の1F物件です。駅から歩いてきた際、どこ位置から店舗を発見できるか視認性などを確認しましょう。

■2F/B1の場合
  • 専用階段はあるでしょうか。
  • 空中階ならばエレベーターの台数は何台でしょうか。
  • それぞれの階のエレベーターホールから店舗までの導線は確保されているでしょうか。
  • 他店舗などの荷物で導線が狭くなっている、などの不具合はないでしょうか。
  • 非常階段による2方向避難は確保できているでしょうか、地下店舗の場合も重要です。

■共通
  • エアコンの室外機/排気ダクトファンの設置場所は屋上でしょうか。
  • 屋上までの距離がある場合、新設するとコストが大きく掛かりますので確認しましょう。
  • ビルの管理/保守状況は不動産仲介会社に確認しましょう。(ゴミ出しなど含む)
  • ビルの看板はどこにありますか。1Fの入口前のフロア看板、袖看板なの位置と視認性の確認(歩いていて見える位置にあるか)をしましょう。また置き看板を他店舗は置いているのか、なければ置くスペースがあるのか、一緒に確認しておくと良いでしょう。

3:区画内状況で確認すべきこと




スケルトンで借りる場合

・水道口径、ガス容量、電気容量(動力/電灯)、エアコン室外機置場、排気ダクト置場、など設備状況を確認しましょう。
またピザ窯などの重量物を設置する場合は床の耐荷重量を予め確認しておくことが必要です。

居抜きで借りる場合

・前テナントが残していった厨房区画などが、自分の店として使えるかどうか、自分の店の状況と比較し、そのまま使用できるのか、改修するなら最小限でどこまで抑えられそうか、厨房、客席、トイレ、収納などをチェック確認して、検討しましょう。
また、自分の店舗で大きな厨房機器を使用する場合、既存の厨房区画に設置するスペースがあるかどうか、なども確認が必要です。

以上が物件を選定する上での注意点です。

2020年4月1日から賃貸物件における「注1」賃貸借契約に関するルールの見直し」が変更になります。
原状復帰など細かく決めることが必要とされますので、物件契約においては重要事項説明の中でしっかり確認して契約しましょう。

また、同じく4月1日から受動喫煙防止条例が施行されます。基本小規模店舗かつ家族経営以外では禁煙となります。
店頭での表示も必要になり罰則もあるので、開業にあたっては条例遵守を心がけましょう。

次回は、商店街への出店について書いていきます。

注1) 法務省:賃貸借契約に関するルールの見直し2020年4月1日 http://www.moj.go.jp/content/001289628.pdf
注2) 東京都受動喫煙防止条例 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tokyo/kangaekata_public.html

コラムまとめ
第1回 業態   :自分の店舗の業態を把握する
第2回 業態   :店舗をつくる4つの構成概念
第3回 多店舗化 :家業でやるか事業でやるか
第4回 多店舗化 :家業と違う事業化の難しさ
第5回 路面店選び:立地を考える-笹塚駅周辺分析
第6回 路面店選び:物件を考える

田上 百合子(たのうえ ゆりこ) スパイカ株式会社 代表取締役
店舗開発プロデューサー/出店戦略コンサルタント
大手内装会社を経て、美容・外食・小売のチェーンストア本部で店舗開発職及びスーパーバイジングに従事後独立。
独立後は、国内外において店舗出店及び新規店舗事業構築に伴う、出店戦略立案、経済条件交渉、コンストラクションマネジメント、予算管理、運営設計まで一貫した店舗事業プロデュースの他、本部と現場の仕組み化などの経営支援に従事する。