【連載コラム第五回】
路面店選び:立地を考える-笹塚駅周辺分析



今回のコラムはスパイカ株式会社が ①業態 ②多店舗化 ③路面店選び ④商店街の店舗 ⑤ロードサイド物件 ⑥商業施設への出店 とテナントブックへ寄稿する第5回目です。


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第1回のコラムで『自分の店舗の業態を把握』するにあたりエリアの中でどのようなポジション取りをしているか、について考える必要性を書きました。
第5回は路面店選びの際に立地や市場(顧客)をどのように考えていくか京王線笹塚駅をモデルに考えて行きます。

1:笹塚駅周辺にはどのような立地特性があるでしょうか?




笹塚駅周辺がどのような顔を持つ街(エリア)か確認して行きましょう。

【立地と周辺環境】
・笹塚駅:渋谷区笹塚1丁目 1日あたり乗降客82,784人/京王電鉄2018年
・新宿駅から京王線で1つ目の駅であり特急以外の全ての電車が停車する駅である。
・都営新宿線と京王新線の連絡により、都営新宿線の始発駅の顔を持つ。
・周辺企業:日本電波工業株式会社(東証1部)/ 櫻護謨株式会社(東証2部)株式会社協和コンサルタンツ(東証JQS)/ 株式会社中村屋中央営業所(東証1部)テルモ株式会社(東証1部)笹塚駅から900m
・周辺商業施設:フレンテ笹塚 / 京王クラウン街笹塚 / 笹塚ショッピングモール21
➡多数のナショナルチェーンストアが出店している
・周辺商店街:笹塚観音通り商店街(ワタミ社1号店発祥地)/ 笹塚十号通り商店街
・周辺学校:東京都消防庁 消防学校 / 帝京短期大学(笹塚駅から1.5km)
・家賃相場:千歳烏山駅(特急以外全て停車駅/1日乗降客数:83,666人)との比較

【表1】
※割高感:千歳烏山から見た笹塚の割高感

以上の笹塚駅周辺環境から、平日は企業に勤めるサラリーマン・OL・学生が多くサラリーマンを中心とした飲食需要や宴会需要が見込める。
また、休日需要を支える居住住民の層は、笹塚駅周辺は千歳烏山駅と比較して間取りの増加に比例して住宅費の割高感が増すことから、千歳烏山駅よりも笹塚駅周辺に居住するファミリー層の住民は可処分所得が高い層である、と想定される。
加えて、笹塚駅周辺から代々木上原駅の1.5km間の住宅地は、第一種低層住宅専用地域の高級住宅地エリアである。
そのため、笹塚駅は近隣商業地から第一種低層住宅専用地域(高級住宅地)としての2つの顔を持ち、サラリーマンを中心とした客単価3000円~5000円程度の飲食店から住民に評価されれば、隠れ家的高級店も十分営業できる立地である、と考えられる。
これは、1972年笹塚で生まれチェーン展開するイルキャンティグループなどが一例として挙げられるが、企業努力は勿論のこと、当時は珍しかったイタリア食堂業態を育む(受け入れる)環境があると言える。

2:笹塚駅周辺の立地選別




笹塚駅は改札1か所であり、改札を出た人は ①京王クラウン街を抜けた商業施設エリア ②商業施設エリアと反対の住宅地エリア ③甲州街道を渡り十号商店街を含む住宅地エリア の大きく3つのエリアに分散されて行く。
どのような立地の違いがあるか図1に示した。 

【図1】
※スパイカ㈱作図


①1等立地(赤線枠エリア):エリア内で1階路面店の一番家賃が高い

・駅周辺の商業施設、甲州街道沿いの一部のエリア
回遊人口が一番多いエリアであり前面交通量に左右される業態(ファストフード/カフェなど)は特にこのエリア内の1階路面出店でないと厳しい。
このエリアには飲食店ビルや商業施設のレストラン街などがあり施設集客できることが特徴で、飲食店ビルの空中階にも大手チェーンが出店する。
そのため施設集客できるビルの近くの雑居ビルなども人気がある。通りすがりの集客が見込めるためエリア内で家賃が一番高く、大手ナショナルチェーンが多く出店するエリアである。

②1.5等立地(青線の道路沿いまたはエリア)

回遊人口が多い道路(エリア)から少し離れている、メイン通りを曲がった道路沿いである。
1階路面物件家賃が1等立地の飲食ビルの2階や地階より家賃が安いことが多い。
開業資金が少ない独立者にも出店し易い立地である。
一方、看板の位置や周辺環境に注意(風俗店の有無など)して立地内の物件を選ぶことが必要である。

③2等立地(緑線の道路沿いまたはエリア)

大通りに面していても道路幅が狭く人通りが少なく、住宅地の中にあり通りかがりに店舗を見つけることが難しい、店舗を知らないと行けない立地である。
一方で目的性の高い業態には安い家賃で出店できるエリアである。
 独立開業者にとって家賃が安く手は出しやすいが、口コミ等による集客に時間が掛かるため、損益分岐点を抑える、デリバリー対応、強い業態(記憶に残る店)を作る必要がある。

このように1つの駅をエリア分けし、自分の店舗出店、継続的な運営ができる場所はどこなのかを考えて立地を選ぶ必要があります。
 
次回は立地を決めた後にどのように物件の選定をどのようにするか、について書きます。

注1)京王電鉄HP 1日の駅別乗降人員:https://www.keio.co.jp/group/traffic/railroading/passengers/index.html
注2)笹塚駅家賃相場(SUUMO):https://suumo.jp/chintai/soba/tokyo/ek_16280/
   千歳烏山駅家賃相場(SUUMO):https://suumo.jp/chintai/soba/tokyo/ek_16280/

コラムまとめ
第1回 業態   :自分の店舗の業態を把握する
第2回 業態   :店舗をつくる4つの構成概念
第3回 多店舗化 :家業でやるか事業でやるか
第4回 多店舗化 :家業と違う事業化の難しさ
第5回 路面店選び:立地を考える-笹塚駅周辺分析
第6回 路面店選び:物件を考える

田上 百合子(たのうえ ゆりこ) スパイカ株式会社 代表取締役
店舗開発プロデューサー/出店戦略コンサルタント
大手内装会社を経て、美容・外食・小売のチェーンストア本部で店舗開発職及びスーパーバイジングに従事後独立。
独立後は、国内外において店舗出店及び新規店舗事業構築に伴う、出店戦略立案、経済条件交渉、コンストラクションマネジメント、予算管理、運営設計まで一貫した店舗事業プロデュースの他、本部と現場の仕組み化などの経営支援に従事する。