【連載コラム第二回】業態 :店舗をつくる4つの構成概念



本コラムはスパイカ株式会社がテナントブックのユーザー(既存店舗を持ちながら追加出店を考えている方々)を対象に、①業態 ②多店舗化 ③路面店選び ④商店街の店舗 ⑤ロードサイド物件 ⑥商業施設への出店 について本サイトに寄稿する第2回目です。


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Ⅱ:業態―店舗を作る4つの構成概念




店舗は、4つの構成概念の組み合わせで売上を作っています。




たまたま来店したお客様でも、4つの構成概念のなかで何か記憶に残れば、再来店してくださる可能性が高まります。
強みとは、お客様の記憶に残る『〇〇〇』と言い換えることもできます。

例えば、こんな感じで記憶に残ります。
☑取引先の近くあって、ランチのコスパがいいお店➡立地・メニュー(単価)
☑会社近くで、帰宅前にちょっと飲むのに便利なお店➡立地・メニュー(単価)
☑いつもがやがやしているから、一人でも団体でも気にならないお店➡空間
☑個室で接待使いできる、落ち着いた高級感のあるお店➡空間
☑メニューが豊富な定食屋で、毎日行っても飽きないお店➡メニュー
☑ハンバーグが絶品!➡メニュー
☑名物の刺し盛5点なのに8点盛ってあり、友人を驚かせるために行きたいお店➡メニュー
☑炭火焼鳥が美味しい、女性同士でもゆっくり楽しめるお店➡メニュー・空間
☑ホールの女の子の笑顔が可愛い(男の子がイケメン)また会いたい➡接客
☑接客が良くて、いつも気持ちよく食事ができるお店➡接客

そして、また食べたくなる絶品ハンバーグは待たされても食べたいハンバーグとして記憶に残り、メニュー(料理)・空間・立地・接客の4つの構成概念が二つ、三つと重なる方が「〇〇〇が良かったお店」としてより記憶に残るお店になります。

ここで気を付けなければならないのは、メニューとは単に料理の内容だけではない事です。メニューは料理と単価の組み合わせであり、料理には盛り付けや食べさせ方(自分でにがりを入れて豆腐を作って食べるなど)も含まれます。
そして、お客様は料理に対し納得する金額を払って満足します。その上で、コスパがいい、コスパが悪い、という感想がでてきます。

例えば

【あるサラリーマンの呟き】
*会社近くのお店だけど、入り口には『ろばた焼き』と書かれた大きな暖簾。暖簾をくぐって扉を開けると、半被はっぴに前掛けの板さんから「いらっしゃい!!」の掛け声。内装は黒板壁に天井から和紙提灯のオレンジ色の灯り、落ち着いた雰囲気が居心地いい。3人の板さんがカウンター前の炉端で魚に肉、野菜、本日のおススメなんかを焼いてくれて大きなしゃもじで出してくれるんだ。ホールの女の子が出してくれるビールはキンキンにグラスが冷えて炉端で焼かれた熱々の焼き魚にピッタリ、全国から取り寄せている拘りの日本酒も絶品だし、ライブ感もあるから接待使いでも喜ばれるよ。

・・・・・

立地(会社の近く)+空間(黒板壁や和紙提灯)+接客(いらっしゃいの掛け声:活気)+メニュー(新鮮な魚介の炉端焼き・こだわりの日本酒)と構成概念が繋がって、記憶に残るお店になります。

一方
【フレンチ好きの主婦のつぶやき】
*駅前でフランスの田舎料理を出すビストロフレンチの新店開業のチラシを貰ったから、週末の夜、子供の誕生日のお祝いに家族で行ったけど、小料理屋の居抜きかしらって感じのお店だったの。料理はロワーヌ地方の田舎料理らしいけど、ワインはイタリアのシチリアワインやチリワインで、フランスワインは無かったし、デザート頼んだらティラミスを進められたわ。オープンしたばかりのせいか、接客が回っていなくて落ち着かないから1時間もしないで出てきちゃったの、その割に高くて…。

・・・・・・

ビストロフレンチの開業チラシをみたお客様の内装への期待感、小料理屋風の内装(空間)フレンチ(ロワーヌ料理)にイタリアワイン(シチリア)と、落ち着かない接客、と期待感を裏切っていますね。

このように、立地、空間(内装)、接客、メニュー(料理・単価)を繋げて業態を作り提供することでお客様の記憶に残る反面、上手く繋がらない(提供できない)とお客様の期待を裏切ってしまい『もう行きたくないお店』としてお客様の記憶に残ることになります。

自分の店舗の業態を把握する際、大きく『立地とポジション』『業態を構成する4つの概念』を把握しておくと次の店舗の出店を考える際に出店先に選定や店作りがやり易くなります。
また、1号店の問題点解消➡2号店の問題点解消➡次の出店と問題点解消、と続けることで業態の完成度は高くなり、人的資源(マネジメント)へ注力できる時間が作ることができます。

次回は、多店舗化をするということについて考えて行きます。

田上 百合子(たのうえ ゆりこ) スパイカ株式会社 代表取締役
店舗開発プロデューサー/出店戦略コンサルタント
大手内装会社を経て、美容・外食・小売のチェーンストア本部で店舗開発職及びスーパーバイジングに従事後独立。
独立後は、国内外において店舗出店及び新規店舗事業構築に伴う、出店戦略立案、経済条件交渉、コンストラクションマネジメント、予算管理、運営設計まで一貫した店舗事業プロデュースの他、本部と現場の仕組み化などの経営支援に従事する。



コラムまとめ
第1回 業態  :自分の店舗の業態を把握する
第2回 業態  :店舗をつくる4つの構成概念
第3回 多店舗化:家業でやるか事業でやるか