造作譲渡を有効活用!
メリットとデメリットを紹介

造作譲渡

2店舗目以降の出店を検討している経営者にとって、新店舗開業のための手間や費用は大きな問題だといえます。そして、そんな問題の解決に役立つのが造作譲渡です。造作譲渡の仕組みを理解し、そのメリットを上手に活かすことができれば、効率的に開業を迎えることができるでしょう。

そこでこの記事では、造作譲渡のメリット・デメリットなどについて解説していきます。

 

造作譲渡とは?





造作譲渡とは、店舗に設置された造作物をそのまま残し、所有権のみを前の経営者から次の経営者へと譲り渡すことをいいます。譲渡は基本的に有償で行われますが、場合によっては無償のケースも見られます。

造作物に分類されるのは外装や内装、看板や家具、レジなどです。ほかにも、厨房設備・排水設備・排気設備なども造作物に含まれます。造作譲渡が発生する可能性が高いのは、店舗の内装や設備が残ったままの居抜き物件です。

また、造作譲渡は物件のオーナーとの契約ではなく、前経営者と新経営者のあいだで取り交わす契約となります。

造作譲渡は、前経営者と新経営者のニーズが合致することで成立するのが一般的です。造作物を譲渡したい前経営者側は、「まだ充分に使用できる造作物を、次の経営者に買い取ってもらいたい」などという心理で契約成立を目指します。店舗の閉店・移転にかかるコストと時間を、できるだけ削減することが主な目的です。

一方、造作譲渡を受けたい新経営者側には、「初期費用を抑えて、効率的に開業したい」などといった心理が働いています。造作物が老朽化していないことや、造作物のデザインや機能が自分のイメージに合うことなどが前提条件です。

こうした両者のニーズが合致したのち、造作内容や金銭面などの折り合いがつけば、造作譲渡契約が成立します。

 

造作譲渡のメリット





造作譲渡の大きなメリットは、新店舗の開業にかかるコストと時間を節約できる点です。

 

◆開業コストを削減できる


通常、店舗の設備がまったくない状態から開業するとなると、外装・内装・厨房設備などを調えるのに、多くのコストが必要です。

ただ、造作譲渡契約を結んで居抜き物件として譲り受けられれば、造作物が揃った状態で開業することできます。ですから、店舗開業にかかる初期投資のコストを、大幅に削減することができるでしょう。

また、場合によっては必要な造作物だけをピックアップし、譲り受けるというような契約も可能です。

造作物を譲り受けられるのはありがたいものの、一部の造作物のデザインや機能が気に入らないという場合もあるでしょう。そういった際、前経営者と新経営者のあいだで相談し、指定の造作物のみ譲渡するというような契約を結ぶこともできます。

 

◆早く開店を迎えられる


それから、造作譲渡を行うことで、開店までの日数を短縮できる点も魅力です。

季節や立地によっては、店舗を借りてからなるべく早く開店日を迎えたいという場合があります。そういうときでも、あらかじめ使用可能な造作物が揃っていれば、開店までの準備期間を短くすることが可能です。特に、同業種の居抜き物件であれば、明日からでも開店可能というような状態で譲り受けられるケースもあります。

 

◆閉店時のメリットを理解しよう


加えて、造作物を譲り渡す前経営者側のメリットを理解しておくことも、造作譲渡契約成立のためには重要です。

造作物譲渡は前経営者と新経営者のあいだで取り交わされるわけですから、双方のメリットを把握しておくことで、交渉をスムーズに進めることができるでしょう。

造作譲渡によって前経営者が得る主なメリットは、原状回復に必要な時間とコストを抑えられることです。

物件の契約内容によっては、店舗を閉店・移転する際に、原状回復を行う義務が発生します。原状回復とは、店舗を入居時の状態に戻すことです。そして、原状回復を行うには、内装解体工事・スケルトン工事・廃棄物処理など、複数の工事が必要になります。そのため、原状回復には多くの時間とコストがかかるのが一般的です。しかし、もしも造作譲渡契約を結び、居抜き物件として次の経営者に店舗を譲り渡すことができれば、原状回復の手間は必要ありません。

つまり、閉店・移転にともなう時間とコストを大幅にカットしたいと考える前経営者にとっても、造作譲渡は嬉しい申し出だといえます。

この原状回復に関するメリットは、当然ながら自分が造作物を譲り渡す側になったときにも効力を発揮します。ですから、造作譲渡による開業時のメリットに加え、閉店・移転時のメリットも合わせて理解しておきましょう。

 

造作譲渡で注意したいポイント





造作譲渡の契約を結ぶときには、いくつか注意しなければならないポイントがあります。

 

◆物件オーナーの承諾が必要


まずは、造作譲渡契約の締結に関しては、物件のオーナーからの承諾を必ず得なければならない点に気をつけましょう。

前経営者が店舗を居抜き物件として誰かに譲り渡す場合、賃借人が変わることを物件のオーナーに承諾してもらわなければいけません。また、オーナーが引き続き同業種での賃貸を希望しているかどうかの確認も必要です。

たとえば、前経営者には飲食店として貸していたものの、次は事務所として貸し出す予定だという場合、造作譲渡は困難です。

造作譲渡契約自体は経営者同士で結ぶため、オーナーの意見は関係ありません。しかし、造作譲渡を行うには物件の賃貸契約が前提となるため、オーナーに承諾を得ることが重要となります。

 

◆原状回復の範囲を理解しよう


さらに、造作譲渡を受ける新経営者は、原状回復の範囲についてよく理解しておくことが賢明です。

居抜き物件としての譲渡では原状回復は必要ありませんが、原状回復の義務が消えたわけではありません。店舗の新しい経営者となった時点で、原状回復義務は新経営者へと引き継がれています。つまり、新経営者が次に閉店・移転をしようとしたとき、原状回復が必要になる可能性があるということです。

こうした事態に備えて、原状回復の範囲がどこからどこまでなのか、しっかり理解しておくことが大切です。経営者が閉店・移転を決意した際、造作譲渡契約が結べなければ、原状回復の義務を果たさなければいけません。

 

◆リースの造作譲渡品をチェック


造作譲渡対象のなかに、リース品があるかどうかも確認しておきましょう。

リース品の契約期間がまだ残っている場合、造作譲渡を受けた経営者がリース契約も引き継ぐことになります。ですから、のちのトラブルを避けるため、前経営者は新経営者に対してリース契約の詳細を説明しておくのが無難です。

譲り受けた造作物をリース品と知らずに処分してしまっては大変ですから、新経営者側もリース品の契約期間や料金をよく確認しましょう。

 

◆不要造作物の処分費用を話し合おう


それから、不要な造作物に関する処分費用を話し合うことも必要です。新経営者が造作物を選んで譲渡を受ける契約の場合、造作物のなかには必要とされないものも出てきます。

そうした不要な造作物を処分するための費用を、前経営者が負担するのか新経営者が負担するのか、事前に決めておくと良いでしょう。

 

造作譲渡料とは?





造作譲渡料とは、造作譲渡の際に発生する料金のことです。造作譲渡金ともいい、譲渡を受ける新経営者が前経営者に対して支払います。

造作譲渡を受ける側としては出費が求められるわけですから、顕著なデメリットだといえるでしょう。事業の一部を他社に売却する行為であり、法律上は事業譲渡(営業譲渡)に当たります。造作譲渡料は賃貸権を引き継ぐために必要な費用なので、権利料のような側面を持つのが特徴です。

造作物の所有権が物件のオーナーに移っているようなケースでは、造作譲渡料が発生しない場合もあります。

 

造作譲渡で効率的な開業を!





造作物をそのまま譲り受けられる造作譲渡は、飲食店で2店舗目以降の出店を考えている経営者にとって、メリットの大きい契約です。いくつかの注意点に気をつけつつ上手く活用できれば、店舗開業までの時間やコストを大幅に節約することができるでしょう。

これから新たな店舗の出店を検討しているという人は、造作譲渡を使った効率的な開業を目指してみてはいかがでしょうか。